
こんにちは。香川県高松市で咬み合わせを専門とする「吉本歯科医院」院長の吉本彰夫です。
銀歯について、こんなご相談をいただきます。
- 「笑ったときに、奥歯の銀色が見えるのが気になります」
- 「銀歯のまわりの歯ぐきが、黒ずんできました」
- 「金属アレルギーが心配なので、全部替えたいのです」
そのほとんどの方が、「白いものに替えれば解決する」とお考えです。見た目については、たしかにそのとおりです。ただ替えたあとに、欠けた、外れた、といって戻ってこられる方が少なくありません。
今回は、銀歯が気になる理由の整理と、白い歯に替える前に確かめておきたいことを、順にご説明します。
銀歯が気になる理由は、色だけではありません
拝見していると、ご相談の理由は大きく三つに分かれます。
見た目 — 笑ったとき、話したときに銀色が見える。上の歯より、下の奥歯のほうが見えやすいものです。
歯ぐきの黒ずみ — 銀歯と歯ぐきの境目が、黒や紫がかった色に見える。
金属そのものへの不安 — 金属アレルギーを指摘された、または心配している。
どの理由でも、替えられる材料は同じです。ただ、何を優先するかで選ぶものが変わります。ですから最初に、どれがご自身の一番の理由なのかをお聞きしています。
歯ぐきが黒ずむのは、なぜか

保険診療で使われる金属(金銀パラジウム合金など)からは、長い年月のあいだに、ごくわずかですが金属イオンが溶け出すことがあります。それが歯ぐきに沈着して、黒ずんで見えることがあります。
これは汚れではありませんので、磨いても取れません。
金属を使わない材料に替えると、色がつく原因そのものは止まります。ただし、すでに沈着した色が自然に消えるとは限りません。薄くなる方もいますし、そのまま残る方もいます。前歯に近い場所では、ここを事前にお伝えしておく必要があります。
金属アレルギーが心配な場合
お口の中の金属が関わっているかどうかは、症状だけでは決められません。手のひらや足の裏に症状が出る方もいれば、口の中に出る方もいます。
当院では、お口の中にどの種類の金属が入っているかを確認し、必要に応じて皮膚科での検査(パッチテスト)をご案内しています。原因が特定できた場合は、その金属を避けた材料を選びます。
「金属アレルギーだから、すぐに全部外したほうがよい」とは申し上げません。外す順番と、外したあとに何を入れるかを決めてから進めます。
銀歯を外すと、中の状態が分かります

長く入っている銀歯では、外してみて初めて分かることがあります。
縁から細菌が入って、中で虫歯が広がっていた。歯が薄くなっていて、詰め物では支えられない。神経に近いところまで進んでいた。こうした場合、予定していたよりも削る量が増えたり、神経の処置が必要になることがあります。
見た目を整えるつもりで始めた治療が、思っていたより大きくなることがある。この可能性は、最初にお伝えしておきたい点です。レントゲンで見当をつけますが、確実に分かるのは外したあとです。
替える前に、当院が最初に確かめるところ

力のかかり方です。
金属は、強い力がかかったときにわずかにたわんで耐えることがあります。セラミックはたわみません。力が一点に集まると、そこから欠けます。
つまり、銀歯が長くもっていた場所でも、同じ力がかかったまま白い材料に替えると、結果が変わることがあるのです。「銀歯のときは平気だったのに」というご相談は、ここから来ていることが多いのです。
ですから当院では、替える前に力の向きと大きさを調べ、そのうえで材料と噛む面の形を決めます。遠回りに見えますが、入れ直しを繰り返すより早く終わります。
何を調べるのか
- どの歯が先に当たっているか — 薄いフィルムを噛んでいただき、当たる順番と強さを調べます
- 顎を横に動かしたときの当たり方 — 替える予定の歯に横向きの力がかかっていないかを見ます
- かかっている力の大きさ — 咬合力を測ります。ご自身の想像より強い方が多いのです
- すり減りや欠けの跡 — 他の歯に残った跡から、力の向きが読み取れます
- 銀歯の縁の状態 — 隙間、段差、歯ぐきの黒ずみの範囲を目とレントゲンで確認します
- 歯ぐきの検査 — 黒ずみが金属由来なのか、歯ぐきの炎症も関わっているのかを切り分けます
選べる材料と費用
費用の目安(自由診療・税込)セラミックインレー・アンレー(詰め物)1本 55,000円〜77,000円/オールセラミッククラウン(被せ物)1本 110,000円/ジルコニアクラウン 1本 165,000円〜220,000円/被せ物に土台(コア)が必要な場合 1本につき 22,000円
詰め物で足りるのか、被せ物になるのかは、残っている歯の量で決まります。強い力がかかる奥歯では、強度に優れたジルコニアが向くこともあります。どれを選ぶかは、場所と力のかかり方によって変わりますので、検査の結果をお見せしてからご説明します。
主なリスク・副作用外したときの歯の状態によって、削る量が増えたり、神経の処置が必要になる場合があります。装着後に一時的なしみや違和感が出ることがあります。セラミックは強い力が加わると割れたり欠けたりすることがあります。すでに歯ぐきに沈着した色は、金属を外しても元に戻らない場合があります。咬み合わせの状態によっては適応にならない材料があります。
何本もある場合、どこから替えるか
一度にすべてを替える必要はありません。
見える場所を優先するのか、傷んでいる歯を優先するのか。力が集中している歯から整えるのか。ご希望とお口の状態の両方で順番が変わります。
奥歯の高さが落ちている場合は、そこを先に整えたほうが、あとで入れる歯が長くもちます。前歯だけを先に替えると、力の行き先が変わらないまま見た目だけが新しくなることがあるためです。
回数と期間も、順番によって変わります。初診の検査のあとに、見通しをお伝えします。
こんな方は一度ご相談ください
- 笑ったときに銀歯が見えるのが気になる
- 銀歯のまわりの歯ぐきが黒ずんできた
- 金属アレルギーを指摘された、または心配している
- 銀歯が何度も外れる、外れたまま過ごしている
- 以前白い歯に替えたのに、欠けた・外れた
- 奥歯を失ったまま、または低いまま過ごしている
- 銀歯の数が多くて、どこから手をつけるか分からない
ひとつでも当てはまる場合、材料を選ぶ前に確かめておくことがあります。
この記事のまとめ
✅ 銀歯のご相談は、見た目・歯ぐきの黒ずみ・金属への不安の三つに分かれます
✅ 歯ぐきの黒ずみは金属イオンの沈着で、磨いても取れず、外しても色が残る場合があります
✅ 銀歯を外すと中の虫歯が見つかることがあり、削る量が増える可能性があります
✅ 金属はたわんで耐えますが、セラミックは力が集中すると欠けます
✅ 材料を決める前に力の向きと大きさを調べておくと、入れ直しを繰り返さずに済みます
よくあるご質問
Q. 銀歯は、すべて白い歯に替えたほうがいいのでしょうか
そうとは限りません。縁に隙間がなく、力の集中もなく、見えない場所にある銀歯であれば、急いで替える理由は少ないのです。替えるかどうかは、見た目・縁の状態・力のかかり方の三つで決まります。検査のあとに、替えたほうがよい歯とそうでない歯を分けてご説明します。
Q. 歯ぐきの黒ずみは、銀歯を替えれば消えますか
原因は止まりますが、すでに沈着した色が消えるとは限りません。範囲が狭く浅い場合は目立たなくなることもあります。見える場所でどうしても気になる場合の方法もありますので、歯ぐきの状態を見てご相談ください。
Q. 保険で白くできる歯もあると聞きました
保険で白い材料が使える場所と条件があります。ただ、材料の性質が自費のものとは異なり、色の変化やすり減り方に違いが出ます。どちらが向いているかは、その歯の位置と力のかかり方によります。両方の違いをお示ししたうえで、お選びいただきます。
Q. 一度に何本も替えられますか
お口の状態によります。何本かをまとめて進めることもありますが、力のかかり方を整えながら進める場合は、順番に行うほうが結果が安定します。回数と期間は検査のあとにお伝えします。
Q. 他院で入れた銀歯でも診てもらえますか
はい。前の治療の良し悪しを申し上げるためではなく、今どういう状態にあるかを確かめるところから始めます。いつ入れたものか分かると診断が早くなりますので、記録があればお持ちください。
ご相談ください
「銀色を白くしたい」「でも、替えたあとに欠けるのは避けたい」
そのどちらのお気持ちも、検査をしてみると整理がつくことが多いのです。当院では、咬み合わせの検査で力の向きと大きさを調べ、3Dデジタルレントゲン(CT)で歯と骨の状態を確認したうえで、今の状態と選べる方法をご説明します。初日に治療を始めることはありません。費用と期間、そして考えられる不利益まで、ご納得いただいてから進めます。
ご予約は、24時間受け付けているネット予約、またはお電話(087-818-1118)からお願いいたします。