
こんにちは。香川県高松市で咬み合わせを専門とする「吉本歯科医院」院長の吉本彰夫です。
検診や治療の場で「夜、食いしばっていますね」「歯ぎしりの跡がありますね」とお伝えすると、こんなご質問をいただきます。
- 「自分では噛んでいる覚えがまったくありません」
- 「この状態で白い歯を入れても大丈夫でしょうか」
- 「マウスピースを作れば治るのでしょうか」
そのほとんどの方が、「食いしばりは癖だから、気をつければ直る」とお考えです。しかし就寝中の食いしばりは、意識で止められるものではありません。そして力の大きさは、食事のときの噛む力を上回ることが少なくありません。
今回は、食いしばりがある方がセラミックを入れる前に何を確かめておくとよいか、そしてマウスピースが何をする装置なのかを、順にご説明します。
自分では気づけないのが、この癖の特徴です
起きているときの力と、寝ているときの力は別のものです

食事のとき、私たちは食べ物の硬さを感じながら力を加減しています。硬いものに当たれば、無意識にゆるめます。
ところが就寝中は、その加減が働きません。歯と歯が直接ぶつかったまま、力がかかり続けることがあります。ご自身では覚えがないのが当然で、それは注意力の問題ではありません。
お口の中には跡が残ります
拝見すると、次のような跡が見つかることがあります。
- 奥歯の噛む面が平らにすり減っている
- 前歯の先が欠けている、または短くなっている
- 歯の根元がくさび状にへこんでいる
- 頬の内側に、噛みしめの跡の線が走っている
- 舌の縁に歯の形の跡がついている
こうした跡は、力がかかった時間の記録です。朝起きたときに顎が疲れている、こわばっている、という方も少なくありません。
セラミックを入れる前に確かめておきたいこと
食いしばりがあるからセラミックができない、という話ではありません。確かめる順番が変わるだけです。
当院では、次のような検査で現状を確認します。
- どの歯が先に当たっているか — 薄いフィルムを噛んでいただき、当たる順番と強さを調べます
- 顎を横に動かしたときの当たり方 — 就寝中の動きに近い状態で、どこに力が集まるかを見ます
- かかっている力の大きさ — 咬合力を測ります。ご自身の想像より強い方が多いのです
- すり減りや欠けの分布 — 左右のどちら側に偏っているかで、力の向きが分かります
- 奥歯の高さ — 奥歯が低いと、前歯に力が回ります
この結果によって、入れる材料も、噛む面の形も、順番も変わります。
検査で分かると、設計が変わります
たとえば、力が集中している場所が分かれば、そこに継ぎ目が来ないように設計できます。
奥歯であれば、強度に優れたジルコニアが向くことがあります。噛む面の形を平らに寄せて、力が一点に集まらないようにすることもあります。奥歯の高さが落ちている場合は、そちらを整えてから前歯に進むほうが、結果として長持ちします。
逆に、力の状態を確かめないまま白い歯を並べると、材料を何に替えても同じ場所から欠けていきます。
費用の目安(自由診療・税込) オールセラミッククラウン 1本 110,000円/セラミックインレー・アンレー(詰め物)1本 55,000円〜77,000円/被せ物に土台(コア)が必要な場合 1本につき 22,000円/就寝時用マウスピース 1個 22,000円
主なリスク・副作用 セラミックは強い力が加わると割れたり欠けたりすることがあります。装着後に一時的なしみや違和感が出ることがあります。歯を削る処置を伴うため、神経の処置が必要になる場合があります。マウスピースは慣れるまで眠りにくさを感じることがあり、使用しない期間が続くと歯を守る働きは得られません。咬み合わせの状態によっては適応にならない治療があります。
マウスピースは「守る」装置です

ここは誤解が多いところなので、はっきりお伝えします。
就寝時のマウスピースは、食いしばりを治す装置ではありません。歯と歯の間に入って、力を受け止め、歯とセラミックが壊れるのを防ぐ装置です。
ですから、使えば癖がなくなるというものではなく、使い続けている間だけ働きます。ご自身の歯を削らずに済み、セラミックの寿命にも関わるので、当院では食いしばりの跡がある方にはお使いいただくことをおすすめしています。
市販の製品もありますが、その方のお口に合わせて作ったものと、高さの精度が違います。合わない高さのもので噛み続けると、咬み合わせがかえって崩れることがあります。
こんな方は一度ご相談ください
- 歯科で「食いしばり」「歯ぎしり」を指摘された
- 朝起きたときに顎が疲れている、こわばっている
- ご家族に歯ぎしりの音を指摘されたことがある
- 奥歯の噛む面が平らにすり減ってきた
- 前歯の先が欠けた、短くなった
- これからセラミックを入れようとしている
- 過去に入れたセラミックが割れた、外れた
ひとつでも当てはまる場合、白い歯を入れる前に力の状態を確かめておく意味があります。
この記事のまとめ
✅ 就寝中の食いしばりは意識で止められるものではなく、注意力の問題ではありません
✅ お口の中にはすり減りや欠けとして力の跡が残り、そこから向きと大きさが読み取れます
✅ 食いしばりがあってもセラミックは行えます。確かめる順番が変わります
✅ 力の集中する場所が分かると、材料・噛む面の形・治療の順番を設計できます
✅ 就寝時のマウスピースは癖を治す装置ではなく、歯とセラミックを守る装置です
よくあるご質問
Q. 食いしばりは、自分で気をつければ直りますか
日中の噛みしめであれば、気づいて力をゆるめることができます。ただ、就寝中は意識が働きません。日中の癖と就寝中の力は、分けて考える必要があります。就寝中の分は、守る手立てを用意しておくのが現実的です。
Q. マウスピースは毎晩つけないと意味がないのでしょうか
働くのは使っている間だけですので、使わない晩はその分の力が歯にかかります。旅行などで数日お休みになるのは構いませんが、「気が向いたときだけ」では守る役目を果たしにくくなります。慣れるまでの数日が一番大変ですので、最初の時期にご相談ください。
Q. 食いしばりがあると、セラミックはやめたほうがいいですか
そうとは限りません。入れる場所と力のかかり方によって、向いている材料と設計が変わるだけです。検査の結果によっては、その歯を先に整えるほうが良い場合や、材料を替えたほうが良い場合をご説明します。
Q. 検査だけで、どのくらい時間がかかりますか
初診では、レントゲン、歯周検査、口腔内写真、咬み合わせの検査を行い、その日は説明までで終わります。初日に治療を始めることはありません。必要に応じて3Dデジタルレントゲン(CT)で歯の内部も確認します。
Q. 保険で作れるマウスピースとの違いは何ですか
保険で作れるものもありますが、材料と厚み、調整にかけられる範囲が異なります。どちらが向いているかは、力の大きさと、守りたいもの(ご自身の歯かセラミックか)によって変わります。検査の結果をお見せしたうえでご説明します。
ご相談ください
「食いしばりを指摘されたけれど、何をすればいいのか分からない」「白い歯にしたいけれど、割れないか不安だ」
そのどちらのお気持ちも、検査をしてみると整理がつくことが多いのです。当院では、咬み合わせの検査で力の向きと大きさを調べ、3Dデジタルレントゲン(CT)で歯の内部の状態を確認したうえで、今の状態と選べる方法をご説明します。費用と期間、そして考えられる不利益まで、ご納得いただいてから進めます。
ご予約は、24時間受け付けているネット予約、またはお電話(087-818-1118)からお願いいたします。