
こんにちは。香川県高松市で咬み合わせを専門とする「吉本歯科医院」院長の吉本彰夫です。
セラミックの歯が割れてしまった、という方から、こんなご相談をいただきます。
- 「入れてまだ2年なのに、欠けてしまいました」
- 「同じ歯が割れるのは、これで2回目です」
- 「作り直せば大丈夫だと言われたのですが、また割れないか不安です」
そのほとんどの方が、「材料が弱かったのではないか」「作り方に問題があったのではないか」とお考えです。しかし実際に拝見すると、割れた場所には共通点があることが少なくありません。そして、その場所こそが原因を教えてくれます。
今回は、セラミックが割れるときに何が起きているのか、そして作り直す前に確かめておきたいことを、順にご説明します。
セラミックは、なぜ割れるのか
材料の強さだけの話ではありません
セラミックは、陶器と同じ仲間の材料です。硬く、変色しにくく、汚れも付きにくい。ただし、粘りがありません。曲がって力を逃がすことができないので、限界を超えると、たわまずに割れます。
ここまでは材料の性質の話です。しかし「限界を超えた」のはなぜか、という問いが残ります。
割れる直前に起きていること
私たちの歯は、食事のときだけでなく、一日に何千回も上下で当たっています。就寝中に強く噛みしめている方も少なくありません。
その力が一点に集中し続けると、セラミックの内部には目に見えない小さなひびが入り、少しずつ広がっていきます。そしてある日、硬いものを噛んだわけでもないのに、ぽろりと欠けます。
ですから「昨日まで何の問題もなかったのに」という感覚は、正しいのです。表からは何も見えないまま、内側で準備が進んでいたことになります。
割れた場所が、原因を教えてくれます
前歯が割れた場合
前歯は本来、食べ物を噛み切る歯であって、強い力を受け止める役目は負っていません。その役目は奥歯にあります。
奥歯の高さが下がっていたり、奥歯を失ったまま過ごしていたりすると、支えを失った分の力が前歯に集まります。この状態で前歯にセラミックを入れると、材料を何に替えても欠けやすくなります。
奥歯が割れた場合
奥歯では、噛む面のどこが最初に当たっているかが問題になります。上下の歯は、平らな面どうしがぴたりと合うわけではありません。山と谷が組み合わさっています。
この組み合わせがわずかにずれていると、ある一点だけが先に当たります。0.1ミリ程度の差でも、そこに力が集まり続けます。
同じ歯が繰り返し割れる場合
これはもっとはっきりしたサインです。同じ場所に同じものを入れ直しても、力のかかり方が変わっていなければ、同じ結果になります。2回目、3回目とお聞きしたときに私がまず調べるのは、材料ではなく、その歯に何が起きているかです。
「作り直す」前に確かめること
必要なのは、次に何を入れるかを決めることではなく、なぜ割れたのかを先に明らかにすることです。当院では、次のような検査で現状を確認します。
- どの歯が先に当たっているか — 薄いフィルムを噛んでいただき、当たる順番と強さを調べます
- 横に動かしたときの当たり方 — 噛みしめるときだけでなく、顎を左右に動かしたときに、どの歯がすれ違うかを見ます
- かかっている力の大きさ — 咬合力を測ります。ご自身の想像より強い方が多いのです
- 残っている歯の状態 — レントゲンとCTで、歯の内部のひびや、根元の状態を確認します
- 他の歯の欠けや摩耗 — 割れた歯以外にも、力の痕跡が残っていることがあります
遠回りに見えるかもしれませんが、ここを飛ばすと同じことの繰り返しになります。
作り直すときに変えられること
原因が分かると、次にできることが具体的になります。
たとえば、入れる場所に合わせて材料を選び直すこと。奥歯であれば、強度に優れたジルコニアが向くことがあります。あるいは、噛む面の形そのものを設計し直して、力が一点に集まらないようにすること。周りの歯の咬み合わせを調整して、割れた歯にかかる負担を分散させること。就寝時のマウスピースで、噛みしめる力からセラミックと残っている歯を守ること。
どれが必要かは、検査の結果によって変わります。
費用の目安(自由診療・税込) オールセラミッククラウン 1本 110,000円/被せ物に土台(コア)が必要な場合 1本につき 22,000円
主なリスク・副作用 セラミックは強い力が加わると割れたり欠けたりすることがあります。装着後に一時的なしみや違和感が出ることがあります。歯を削る処置を伴うため、神経の処置が必要になる場合があります。咬み合わせの状態によっては適応にならない治療があります。
こんな方は一度ご相談ください
- セラミックや詰め物が割れた、欠けた
- 同じ歯が2回以上割れている
- 割れた原因を「材料のせい」と説明され、納得できていない
- 朝起きたときに顎が疲れている、こわばっている
- 奥歯を失ったまま、または低いまま過ごしている
- 家族に歯ぎしりを指摘されたことがある
- これから前歯にセラミックを入れようとしている
ひとつでも当てはまる場合、原因はセラミックそのものではない可能性があります。
この記事のまとめ
✅ セラミックは硬い反面、力を逃がす粘りがないため、限界を超えると割れます
✅ 割れるまでに、内部では小さなひびが少しずつ広がっています
✅ 割れた場所は、力がどこに集中しているかを示しています
✅ 同じ歯が繰り返し割れるのは、材料ではなく力のかかり方が変わっていないサインです
✅ 作り直す前に咬み合わせを検査することが、結果として一番の近道になります
よくあるご質問
Q. 割れたセラミックは、その日のうちに付け直せますか
欠け方によっては、応急的にお付けできる場合があります。ただしそれは、割れた原因に対しては何もしていない状態です。まずは検査で力のかかり方を確かめてから、次にどうするかをご相談ください。
Q. 市販の接着剤で付けてもいいですか
おすすめできません。お口の中で使うことを想定していない材料が歯ぐきに触れると、炎症の原因になります。また、ずれた位置で固まってしまうと、咬み合わせがさらに崩れます。欠けた部分は捨てずにお持ちいただくと、割れ方から原因を読み取る手がかりになります。
Q. 割れたまま放っておくと、どうなりますか
欠けた縁が鋭くなり、舌や頬を傷つけることがあります。隙間から汚れが入り、内側で虫歯が進むこともあります。そして、その歯で噛みにくくなった分の力は、別の歯に移ります。次に痛む場所が変わっていく、という形で影響が広がっていきます。
Q. 作り直しにいくらかかりますか。期間はどのくらいですか
被せ物1本であれば、オールセラミッククラウンで110,000円(税込)、土台が必要な場合は1本につき22,000円(税込)が加わります。期間は状態によりますが、2〜3週間が目安です。ただし咬み合わせの調整や、他の歯の処置が先に必要な場合は、それより長くかかります。初診の検査のあとに、見通しをお伝えします。
Q. 他院で入れた歯でも診てもらえますか
はい。前の治療の良し悪しを申し上げるためではなく、今どういう状態にあるかを確かめるところから始めます。お手元に治療の記録や、どこで何を入れたかのメモがあればお持ちください。
ご相談ください
「割れたので作り直したい」「でも、また割れないか不安だ」
そのどちらのお気持ちも、検査をしてみると整理がつくことが多いのです。当院では、3Dデジタルレントゲン(CT)で歯の内部の状態を確認し、咬み合わせの検査で力のかかり方を調べたうえで、今の状態と選べる方法をご説明します。初日に治療を始めることはありません。費用と期間、そして考えられる不利益まで、ご納得いただいてから進めます。
ご予約は、24時間受け付けているネット予約、またはお電話(087-818-1118)からお願いいたします。